
病院から薬局への転職を考えている薬剤師さんのために、病院と薬局の業務内容の違い、給与・年収の違い、病院から条件の良い薬局に転職するためのポイントなどについて解説していきます。
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病院から薬局に転職したほうがいい薬剤師
新卒で病院の薬剤師として就職し、その後薬局に転職したいと考える人は、少なくありません。それにはさまざまな動機があるのですが、薬局に転職した方がいいのは、いったいどんな人なのでしょうか?
患者さんと長い人間関係を築きたい人
病院薬剤師は入院患者さんと深く関わることができる仕事ですが、患者さんが退院してしまうと、そこで患者さんとの関係は終わりになってしまいます。
その点、調剤薬局は地域の患者さんと長く関わることができるので、細く長く続く人間関係を築くことができます。
長い目で患者さんの状態を見ることができるので、そういう関わり方を望む人は、調剤薬局に転職した方が良いかもしれません。
病院の仕事があまりにハードで、疲れてしまった人
病院の薬剤師は全体的に仕事がハードで、残業や夜勤・当直などもあり、心身ともに疲れ切ってしまっている人もいます。
そのため、「もう病院の薬剤師は続けられない」と考えるなら、調剤薬局のように肉体的に楽な職場に転職するのも、ひとつの方法です。
人間関係でメンタル的に参っている人
病院は閉鎖的な雰囲気の職場も多く、中には看護師長や薬剤部長のパワハラがあったり、医師や看護師との関係でメンタル的に参ってしまっている薬剤師さんもいます。
そういう場合は、思い切って調剤薬局に転職した方が、気持ちよく仕事を続けられるかもしれません。
もちろん薬局でもいじめやパワハラはありますが、少なくとも医師や看護師に威張られて卑屈になったり、忙しさからくるストレスで職場が険悪な雰囲気になることはないでしょう。
一部のブラック薬局を除いて、調剤薬局は病院のように忙しくないので、落ち着いた雰囲気の中で働くことができます。
結婚・出産を考えている人
病院薬剤師としてやりがいをもって働いていても、これから結婚・出産を考えている人は、20代後半以降になると「このまま病院に勤め続けていていいのだろうか?」と考え始めます。
「出産後は時短勤務をしながら、家庭中心に生活したい」と考えている人は、調剤薬局に転職するという選択肢もあるでしょう。
もちろん、病院に勤めながら出産・育児をしている薬剤師さんはいます。その場合、たとえば次のような配慮がなされている職場なら、子育て中でも無理なく勤め続けられるでしょう。
- 産休が6週間取れる
- 子どもが2歳になるまで育休が取得できる
- 子どもが小学校就学まで時短勤務ができる
- 子どもが体調を崩したときは休める
- 土日に休める
- 夜勤がない
これはあくまで理想的なパターンなので、この条件を満たしている病院は、けっして多くありません。多少の妥協はあるにしても、今の職場がこの条件から大きく外れている場合は、転職を考えるのが賢明な判断といえます。
「出産してから薬局に転職する」という考え方もあるのですが、子供を産んでからでは転職活動も大変ですし、育児中ということで採用してもらえない可能性も大いにあります。
できれば20代後半(遅くても30代前半)までに就労環境の良い薬局に転職をしておき、その職場で育児期間を乗り越えて長く勤め続けるのが、賢い選択肢かもしれません。
ママ薬剤師にとって理想の職場とは?
「薬剤師転職ドットコム」がママ薬剤師に行ったアンケート調査によると、育児をしながら働いている薬剤師さんにとって理想の職場は、次のような結果が出ました。
出典元:薬剤師転職ドットコム
「時短勤務」や「残業なし」といった目に見える条件だけでなく、職場の上司や同僚が育児に理解があることも、働き続ける上でとても大切な要素なのですね!
病院と薬局での薬剤師業務の違い
病院から薬局への転職を考えるなら、病院と薬局ではどんな点に違いがあるかということを、きちんと把握してくことが大切です。ここでは、仕事内容や勤務体系などの違いについて、ご紹介しましょう。
病院は「入院患者」、調剤薬局は「外来患者」がメイン
病院薬剤師の多くは「入院患者」に対応しますが、調剤薬局の薬剤師は「外来患者」への対応が中心です。
そのため、病院に比べて症状の軽い患者さんが多く、重い責任を課せられてプレッシャーを感じるようなことも少ないでしょう。
病院のように患者さんの容態が急変することもほとんどなく、安定した気持ちで業務を行うことができます。
病院は「チーム医療」、調剤薬局は「処方箋に従って調剤」
病院薬剤師は医師や看護師とチームを組んで、連携を取りながら仕事をしますが、調剤薬局は医師が作成した処方箋を見て調剤業務を行います。
そのため、病院薬剤師は医療スタッフと接する機会が多いのですが、調剤薬局の薬剤師は医師や看護師と接する機会はあまりありません。
患者さんが病院から処方箋を受け取って薬局に来訪すると、薬剤師はその処方箋をもとに調剤し、薬を渡すときに服薬指導を行うといった形です。
ただし、同じ調剤薬局でも、在宅医療に関わる薬剤師は例外です。医師や看護師と一緒に、処方について議論するような機会もあり、チーム医療の一体感を感じることができます。患者さんの自宅を訪問して服薬指導を行うので、患者さんとの関係も密接になるでしょう。
病院は「点滴・注射の調剤」や「治験業務」があり、調剤薬局にはない
病院薬剤師は点滴や注射の調剤を行いますが、調剤薬局の薬剤師にはそれがありません。
また、病院薬剤師は入院患者を対象に行う「治験業務」に携わる場合がありますが。調剤薬局の薬剤師には治験業務もありません。
調剤薬局は患者さんが目の前で待っている
病院の薬剤師は入院患者さんの調剤を行うので、基本的に患者さんのいない場所で仕事をしますが、調剤薬局の場合は患者さんが目の前で待っているという違いがあります。多いときは、長椅子にビッシリと患者さんが座っていることもあります。
ほとんどの人は体調が悪くて病院に来ているので、「一刻も早く薬をもらって帰りたい」というオーラが出ていて、それが気持ちの上で負担になる薬剤師さんもいるようです。
病院薬剤師と薬局薬剤師の給料を比較
新卒年収 | 平均年収 | 管理職年収 | |
---|---|---|---|
病院薬剤師 | 300万円台前半 | 300万円~600万円 | 600万円~800万円 |
薬局薬剤師 | 300万円台後半~400万円 | 400万円~600万円 | 600万円~700万円 |
薬局薬剤師の方が病院より年収が高い
薬局薬剤師の年収は、病院薬剤師に比べて全体的に高めです。たとえば病院薬剤師の場合、新卒で入職した時点で年収が300万円台前半の人も多いのですが、調剤薬局の場合は300万円台後半~400万円ほどが一般的です。
年間数十万円~100万円ほどの差があるので、収入面だけを考えると、調剤薬局に完全に軍配が上がるでしょう。
ただし、役職によっては病院薬剤師の方が年収が高くなる場合もあります。調剤薬局は一般職のままでいると年収が頭打ちになり、450万円~550万円ほどで止まってしまいますが、病院で薬剤室長・部長といった役職に就けば、年収600万円~800万円を得るケースもあります。
また、一般職でも国公立病院の場合は、50代ぐらいになったときに調剤薬局よりも高い年収を得られる場合があります。
病院薬剤師の平均的な給与・年収
病院薬剤師の平均的な年収は、300万円~600万円と、かなり開きがあります。
新卒で入職した時点では、月収20万円~25万円、年収300万円~350万円といったところです。何年か勤めた中堅の薬剤師さんの年収が、400万円~450万円といったところでしょう。
主任クラスになれば年収500万円前後になりますが、一般職でいる限り、年収を上げるのは厳しいと思われます。
国公立病院の場合は、初任給が20万800円(令和2年4月1日現在)、年収にして300万円ほどですが、その後は階段を上るように定期昇給していくので、最終的には一般職で500万円~600万円ほどになります。
薬局薬剤師の平均的な給与・年収
調剤薬局の平均的な年収は400万円~600万円ほどです。新卒で薬局に入った時点での初任給は22万円~30万円、年収にして350万円~400万円と、病院に比べてかなり多めです。
管理薬剤師になると、年収600万円~700万円ほどになる人もいますが、一般職の場合は500万円~550万円がボリュームゾーンです。
薬剤師が病院から薬局に転職する理由
収入をアップしたい
薬剤師さんが病院から調剤薬局に転職する最もシンプルな理由は、「収入をアップしたい」という理由です。
病院の薬剤師と調剤薬局の薬剤師とでは、年収に数十万円~100万円ほどの差が出るので、長い目で見たときに生涯年収にも大きな差が出るでしょう。
体力的に続かない
病院薬剤師の仕事は全体的にハードで、新卒で入職した頃は若さに任せて頑張れても、何年か勤めるとだんだん疲れてきてしまう人もいます。
そのため、「病院にいると体力的に続かない」と考えて、調剤薬局への転職を考える人もいます。
調剤薬局は病院に比べて比較的仕事が楽で、年齢を重ねても長く勤め続けることができます。職場の数も多いので、自宅の近くで転職先が見つかる可能性もあり、通勤面でも楽になるかもしれません。
仕事だけでなく、私生活も大事にしたい
病院薬剤師に残業や夜勤は付きもので、私生活を束縛される上に、病院によっては土日に休めないところもあります。
そうなると、どうしても仕事中心の生活になってしまうので、私生活に支障をきたしてしまうこともあるでしょう。
「家族との時間をもっと大切にしたい」「友人と会う時間がほしい」と思うと、調剤薬局への転職を考えるのは自然な流れといえます。
自分以外は若い薬剤師ばかりで、肩身が狭い
病院の薬剤部は、管理職以外は20代~30代の若い薬剤師が多く、40代以降になるとだんだん居心地が悪くなってきます。
そうかといって、同じ職場内で管理職の数は限られているので、自分が管理職を目指すわけにもいかず、管理薬剤師を目指すのであれば転職をするしかありません。
その際に、調剤薬局であれば求人数が多く転職しやすいので、病院ではなく調剤薬局の管理薬剤師を目指す人もいます。
病院から薬局に転職するメリット・デメリット
病院から薬局に転職するメリット
病院よりも給与が高い
病院の薬剤師の給与は全体的に低いので、調剤薬局に転職すると給与が大幅に上がる薬剤師さんは大勢います。
そのため、薬局に転職することで待遇面の満足度がアップする薬剤師さんは、とても多いようです。
病院よりも仕事が楽
病院の薬剤師はとてもハードですが、調剤薬局の仕事は一般的に病院に比べると楽で、何歳になっても無理なく働き続けられる仕事です。
病院よりも残業が少ない
たまに残業漬けのブラックな職場もありますが、調剤薬局の多くは残業が少なく、ワークライフバランスを大切にすることができます。
日曜・祝日に休める
調剤薬局の多くは日曜・祝日が休みで、土曜日も午前中のみというところが多く、中には土日に必ず休める調剤薬局もあります。
病院でも土日に休める職場はありますが、基本的に入院患者さんに対応しているので、数はけっして多くありません。
子育て中の薬剤師さんにとって、パートナーや子どもと同じ日に休めるのは、かなり大きなメリットといえるでしょう。
夜勤や当直がない
病院の薬剤師は夜勤や当直があるところも多いのですが、調剤薬局の場合はほとんどそれがありません。
病院から薬局に転職するデメリット
「やりがいを感じられない」という人もいる
病院の薬剤師は薬学管理のプロとして新しい情報を常に吸収し、一歩踏み込んだ服薬指導ができるのですが、調剤薬局にはそれがありません。
基本的には医師が処方した薬を調剤し、患者さんに説明して渡すというのがメインの仕事なので、「やりがいを感じられない」とこぼす薬剤師さんもいます。
キャリアアップしづらくなる
病院薬剤師は常に最先端の知識を吸収し、キャリアアップを目指すには最適な環境にありますが、調剤薬局の薬剤師にはそういう環境があまりありません。
特定医療機関の処方箋を扱う職場も多く、勉強会などの機会も少ないので、どうしても淡々と仕事をこなすだけの日々になりがちで、キャリアアップしづらい環境にあります。
狭い職場を窮屈と感じることもある
病院に比べて調剤薬局はスペースが狭く、その中で毎日同じスタッフと顔を合わせて、淡々と仕事をし続けなければなりません。
病院で働いた経験がある薬剤師さんの中には、この狭さにストレスを感じる人もいて、一人でも気の合わないスタッフがいると最悪の事態に陥ることもあるでしょう。
病院から条件の良い薬局に転職するためのポイント
2~3社の転職エージェントに登録する
条件の良い薬局に転職したいなら、まずは薬剤師専門の転職エージェントに登録することをおすすめします。
ハローワークやインターネット上の募集サイトにも調剤薬局の募集はたくさんありますが、転職エージェントに登録するとネット上では見られない非公開求人を紹介してもらうことができます。
非公開求人の中には掘り出し物もあり、なおかつ公開された求人よりも応募者が少ないので、採用される確率も高くなるのです。
また、転職エージェントに登録すると応募先の紹介だけでなく、書類の添削や面接対策、応募中のスケジュール管理、面接日・入職日の調整、条件交渉もやってもらうことができます。
そこまで手厚いサービスを受けられても転職エージェントの利用は無料なので、できれば2~3社に登録して比較検討しながら転職活動を進めていくことをおすすめします。
5年後・10年後の将来を見据えて転職先を考える
転職を考えるにあたっては、目先の給与などで判断するのではなく、5年後・10年後を見据えて本当に条件の良い求人なのかどうかを見極めることが大切です。
たとえば年収については現時点での収入だけでなく、将来的にどのぐらいの昇給が見込めるのかもチェックする必要があります。
応募先に勤める30代・40代の薬剤師の年収がいくらぐらいなのかがわかると、生涯年収がどれぐらいかもある程度予測できるでしょう。
自分自身で応募先に直接質問するのは難しいのですが、転職エージェントのキャリアカウンセラーなどに訊ねたり、ネットの口コミ情報などから予測できる場合もあります。
将来的に結婚・出産の可能性がある女性は、育児期間中にどのような働き方になるのかも調べておくのがベストです。
優先順位が高い条件を重要視する
転職活動を始めるとさまざまな求人に出会うので、「この求人がいいかもしれない」と思っても、他に魅力的な求人があると気移りしてしまい、どこに応募していいのかがわからなくなってしまう人もいます。
たとえば「将来的に結婚を考えているから、出産後に時短勤務ができる職場がいい」と思っていたのに、高収入でホテルライクな調剤薬局の求人を見かけたりすると、ついフラフラッとその求人に気が移ったりしてしまいがちです。
ところが、優先順位の高い条件を無視して転職してしまうと、後から後悔することにもなりかねません。転職後に結婚が決まると、「いまの職場は時短勤務ができないので、また転職しなければならない。やっぱりあのとき、高収入につられて安易に転職を決めなければよかった」という事態になることもあるでしょう。
そのようなことにならないためには、最初から自分にとって絶対に譲れない条件を明確にして、「優先度の高い条件は絶対に死守する」という信念で転職活動を行うことが大切です。
病院から薬局に転職した薬剤師の事例
新卒で病院に就職し、4週8休・残業40時間以上の日々を送る
Aさんは薬科大学で6年間学んだ後、地元の総合病院の薬剤師として就職しました。
「最先端の医療を学べる現場で、入院患者さんと深く関わり、一人でも多くの方が健康になって退院されるようにがんばりたい!」という熱い思いで入職したAさんですが、ひと通りの研修が終わり、病棟業務に就いてからの毎日はかなり大変でした。
Aさんが勤めた病院は4週8休で、土日の休みは月に数回のみ。残業も月に40時間以上あり、月何回かは夜勤や当直もありました。
「友だちや彼氏とは休日が合わないし、なかなか会えないけれど、もう社会人なんだから仕方がないかな」と思いながら、仕事への使命感をもってがんばる日々が続きました。
看護師から見下され、いい雰囲気ではなかった職場内
そんなAさんにとって最も辛かったのは、職場の人間関係でした。「チーム医療の一員となり、薬剤師としてプライドを持って働きたい」と思っていたAさんですが、職場の実態はそうではありませんでした。
人数の少ない薬剤師に対して、圧倒的な人数の看護師さんたち。その中にはものすごく気の強い人もいて、まるで薬剤師を見下したかのような言い方をするのです。
「まだ調剤が終わらないの?いくら新人だからって、ちょっとトロ過ぎるんじゃない?」というようなことを言われることも、しばしばでした。
薬剤部の窓口で、看護師と先輩薬剤師が口論になることもあり、チーム医療とは名ばかりの不穏な空気が溢れていました。
仕事が充実し始めた4年目に、彼氏からプロポーズをされる
そんな雰囲気の中でも、Aさんは少しでも早くプロとして仕事ができるようになるために、勉強会にも積極的に参加し、「早く一人前になりたい!」という思いでがんばりました。
やがてAさんも患者さんの服薬指導を任せられるようになり、患者さんと直接触れ合うようになると、仕事にやりがいを感じるようになっていきました。
ベッドサイドで患者さんのおしゃべりに付き合うときに、「あなたと話していると、元気が出てくるわ」と喜んでもらえたり、服薬指導をするときは「入院をしてとても不安だったけれど、お話を聞いて不安がなくなりました」と言ってもらえることもありました。
そして4年目となり、仕事が充実し始めていたとき、Aさんは前々から付き合っていた彼氏からプロポーズを受けたのです。
ママ薬剤師に対する配慮のない職場に、不安を感じる
大好きな彼氏だったので、最初は大喜びのAさんでしたが、ふっと今後のことが不安になりました。「残業や夜勤・当直がある仕事を、結婚後も続けられるのだろうか?」ということです。
Aさんの病院は子育て中の薬剤師に対する配慮があまりなく、育休を取得して勤め続けている人は、実家の親からサポートを受けている人がほとんどでした。
病院自体も、管理職以外の薬剤師は、若い人でOKという考え方のようでした。
子育て中の友人に相談し、リアルな話を聞かされる
「結婚当初は何とかなるけれど、子どもが産まれたら、この職場では働けないかもしれない」と思ったAさんは、薬科大学時代の友人に会って相談をしました。
「今の職場は人間関係が大変だけど、仕事は面白くなってきたところなの。でも、結婚すると続けるのが無理そうなのよねぇ」とこぼすAさんに、子育て真っ最中の友人は「その気持ち、すごくよくわかる!」と共感してくれました。
「でも実際のところ、病院で働きながら子育てをするのは、かなり大変だと思う。私も病院に勤めているときに結婚して、子どもが産まれたんだけど、すごく大変だった。何とか夜勤無しの時短勤務を受け入れてもらえたけれど、夜中の待機スタッフには入っていて、夜中に呼び出されて睡眠不足になったこともあるわ。子どもが3歳以上になると、夜勤も入ってしまって、これはもう無理だと思って調剤薬局に転職したのよ」
友人のリアルな話に、Aさんは「そんな大変な生活、私には絶対に無理!」と心から思いました。
調剤薬局への転職を決意し、2社の転職エージェントに登録
「でも病院の仕事がしたかったら、子どもが小さい頃は調剤薬局に勤めて、子育て後にまた病院に転職するっていう方法もあるわよ!」という友人のダメ押しのひと言に勇気づけられ、Aさんは調剤薬局に転職する決意をしたのです。
「転職するなら、薬剤師向け転職エージェントに相談するといいわよ」とアドバイスされ、Aさんは2社の転職エージェントに登録しました。
和やかな雰囲気で、土日休み、時短勤務のある職場を希望
キャリアカウンセラーから「希望条件は?」と質問され、Aさんは現在の職場でさんざん人間関係に悩んできたため、「和やかな雰囲気の職場を希望します」と答えました。
さらに土日が休みで、出産をしたら正社員のまま時短勤務ができること、子どもが熱を出したら休める環境があることも条件に挙げました。
そして3日後、1社のキャリアカウンセラーから連絡が入り、「条件に合った調剤薬局が見つかりましたよ」と教えてくれたのです。
地域に50店舗の調剤薬局を持つ、子育て応援企業を紹介される
紹介されたのは、地域に50店舗の調剤薬局を持つ企業で、子育て中の薬剤師を応援してくれる体制の整ったところでした。
土曜の午前中は出勤ですが、土曜の午後と日曜・祝日はお休みで、職場内に十分な数の薬剤師がいるので時短勤務もOK。子育て中にスキルアップできる環境も整っていて、年収は現在の職場より70万円もアップするとのことでした。
職場見学をし、今の職場とまったく違う温かい雰囲気に驚く
Aさんは早速職場見学を希望し、新居を考えている場所から最も近い薬局の見学をしました。
そこでAさんが見たのは、今までAさんが人間関係でさんざん悩んできた職場とはまったく違う、和やかで温かい雰囲気の職場でした。
店長から薬剤師・事務スタッフまで全員が笑顔でコミュニケーションをとっていて、毎日充実して働いていることが、ありありと伝わってきたのです。
しかも患者さんとスタッフのやり取りを見ていると、患者さんがスタッフを信頼していることがよくわかりました。軽く世間話などもして、まるでご近所同士の付き合いのようでした。
「調剤薬局は、病院のように患者との深い関わりはない」と思っていたAさんですが、「地域の人との絆という点では、調剤薬局の方が強いのかもしれない」と、そのとき深く実感しました。
子育て中の女性薬剤師が無理なく働ける調剤薬局
店長さんと話をすると、「この会社は、子育て中の女性薬剤師さんが無理なく働けるよう、さまざまな点に配慮をしてくれるんですよ。私もかつては子育て中で、病院で働き続けられなくなって、この薬局に来たんです。スタッフの人が子育てに理解があるので、肩身の狭い思いをすることもなく、楽しく働き続けられました」と話をしてくれました。
目から鱗のような話に、Aさんは、「今までただ夢中で働いてきたけれど、女性薬剤師が結婚していい家庭を築こうとするなら、それを応援してくれる職場に転職することが必要なのだ」ということを、あらためて知りました。
そして、「病院では重篤な患者さんと関わってきたけれど、これからは自分が生まれ育った地域の患者さんのために、一生懸命働きたい」という思いを、新たにするAさんでした。
地域の患者さんの健康を守るお手伝いがしたい
その後、Aさんは希望条件に合った2店舗の調剤薬局を見学しましたが、やはり「職場の雰囲気」「教育体制」「子育て応援度」すべてにおいて、最初に見学した薬局の方が勝っていました。
早速Aさんは応募を決め、キャリアカウンセラーを通して書類を提出。無事書類審査に通り、面談は社長を交えて終始和やかに行われました。
Aさんは、「生まれ育った地域の患者さんの健康を守るお手伝いがしたい」という思いを伝え、社長とも意気投合し、「ぜひがんばってください」と言われ内定が決まりました。
調剤薬局で家庭と仕事の両立を目指すAさん
いま、Aさんは着々と結婚に向けて準備をしながら、調剤薬局で働いています。結婚しても2年間は子どもを産まずに、家庭を大事にしつつ調剤薬局の仕事に専念するつもりです。
「今のうちに会社が支援してくれるe-ラーニングで一生懸命勉強し、勉強会にも参加して、認定薬剤師の資格を目指したい。子育て中はしばしそれどころではなくなるけれど、子育てが一段落したら、また薬剤師として本格的に働き出したい!」と、今後のキャリアプランを描くAさんでした。
まとめ
病院から薬局に転職した方がいい薬剤師についてご紹介しましたが、いかがでしたか?病院と調剤薬局、どちらがご自分に合っているとお感じになったでしょうか?
病院薬剤師にも調剤薬局の薬剤師にも、それぞれメリット・デメリットがあります。ご自身の将来のキャリアプランをよく考えた上で、慎重に選択する必要があるでしょう。
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