病院に転職したい薬剤師が知っておくべき5つのポイント!年収や労働環境なども解説

更新日:2021.3.8

本記事では、病院の薬剤師への転職を考えている人のために、病院薬剤師に向いている人の特徴、必要なスキル、年収の相場、求人例、転職成功のコツなどについて解説していきます。

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病院に転職したほうがいい薬剤師の特徴

薬理のプロとしてキャリアアップしたい人

薬剤師になったからには、薬理のプロとして活躍したい」という思いをもっている人は、調剤薬局や企業よりも病院に転職した方がいいでしょう。

病院は最先端の医療を行う場なので、常に新しい知識を磨くことができます。認定薬剤師を目指せる環境もあり、「働くからにはキャリアアップしたい」という意欲的な薬剤師さんにとっては、最適な環境があります。

患者さんから感謝されることにやりがいを感じる人

患者さんから感謝される職場で働きたい」という思いをもっている人も、病院薬剤師に向いています。

なぜかというと、病院の薬剤師は薬局などよりも患者さんと触れ合う機会が多く、患者さんとしっかり向き合って仕事をすることができるからです。

薬剤師の転職先には調剤薬局からドラッグストア、企業の薬剤師までさまざまありますが、病院の薬剤師は医師や看護師などと組んで「チーム医療」を行う点に、他の職場との違いがあります。

そのため、医療チームが一致団結して患者さんの治療にあたることで、良い結果が出たときには大きな喜びを味わうことができるでしょう。患者さんから感謝されることも多く、それが薬剤師としてのやりがいにつながります。

ただし、病院によっては理想と食い違う場合もあるのでご注意を

「病院薬剤師は患者さんとしっかり向き合える仕事」とお伝えしましたが、職場によっては朝から晩まで薬のオーダーを出され、調剤マシーンのように働いている薬剤師さんもいます。人手不足で疲弊している病院などは、チーム医療どころではないケースもあるでしょう。

職場の実態は病院によってさまざまなので、事前に転職エージェントのキャリアカウンセラーに内情を聞くなり、医療口コミサイトでチェックするなりして、確認しておく必要があります。

病院には転職しないほうがいい薬剤師の特徴

夜勤や残業のあるハードな職場がいやな人

その一方で、病院には転職しない方がいい薬剤師さんもいます。病院は薬局などに比べて仕事がハードで、残業もあり、病院によっては夜勤や当直もあります。

そのため、夜勤や残業のあるハードな職場が嫌だという人の場合、病院薬剤師には向いていません。

楽な職場で高いお給料を確保したい人

「できるだけ楽な職場で、高いお給料を確保したい」と考える人も、病院薬剤師は避けた方が賢明です。

病院薬剤師は仕事がハードで、常に勉強し続けなければならないプレッシャーがあるにもかかわらず、年収は調剤薬局よりも低めです。

つまり、ただ単に条件面だけを考えると、病院は決しておすすめの職場ではないと言えるでしょう。

病院薬剤師とは?必要スキル・年収相場・求人例

働くために必要なスキル

病院薬剤師として働くために必要なスキルは、通常の内服薬や外用薬の調剤はもちろん、無菌製剤の混注や注射薬の調剤といった複数の薬剤を混合するスキルも求められます。

また、化学療法を行うときに使う薬剤の調整など、病院特有の業務もあります。

平均的な年収相場

薬剤師の年収の相場は400万円~550万円ほどですが、病院の薬剤師の年収の相場は300万円~600万円ほどです。

たとえば民間病院に勤める薬剤師さん(30歳・関東在住)の場合、年収の相場は時間外手当を除いて350万円~400万円ほどと、調剤薬局の薬剤師などに比べて低めです。

「6年間高い学費を払って必死で勉強をしてきて、30歳で年収300万円台は厳しい!」と思う人も、いるかもしれませんね。

病院に勤める薬剤師さんは、年収よりもやりがいを求めて勤めている人も多く、収入面を重視する人は違う職場を選んだ方がいいでしょう。

病院薬剤師の求人例

病院薬剤師の求人例を4例ほどご紹介します。基本的に小さい病院よりも大きい病院の方が年収は高くなりますが、規模が小さくてもある程度の年収を確保できる病院もあります。

休日に関しては、土日に休めて月1回土曜出勤のある病院もあれば、土日に関係なく4週8休の病院もあります。

福利厚生に関しても、教育が充実している病院もあれば、社員旅行で海外に行く病院があるなど、職場によって実にさまざまです。

募集要項をしっかりチェックして、自分に最も合った転職先を見つけましょう。

149床の小規模ケアミックス型病院の求人例

勤務地 東京都
病床数 149床
雇用形態 正職員
年収 330万円~410万円(※経験・能力を考慮の上決定)
手当 住宅手当:1万5,000円
特別手当:1万円
通勤手当:上限10万円
当直手当:平日9,600円・日曜日1万500円
就業時間 9:00~17:24(休憩60分) 残業ほとんどなし
仕事内容 ・入院患者向けの調剤業務
・服薬指導
・注射剤のセット
・薬剤管理指導
・DI業務
・併設する介護老人保健施設の調剤
休日・休暇 4週8休、年間休日123日、有給休暇(最高40日・初年度10日)育児休暇、介護休暇、慶弔休暇、夏季・GW・年末年始休暇
福利厚生 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険、退職金、各種研修・勉強会、員外研修補助制度
応募要件 薬剤師(経験者歓迎、未経験・ブランク可、年齢不問)

この病院は、病床数149床の小規模病院です。年収は330万円~410万円と高くはありませんが、年間休日が多く、残業がほとんどないという点に特徴があります。

仕事とプライベートを無理なく両立したい人には、ピッタリの転職先といえるでしょう。

300床の大手グループ急性期病院の求人例

勤務地 埼玉県
病床数 約300床
雇用形態 正職員
年収 380万円~450万円(※経験・能力を考慮の上決定)
手当 住宅手当:1万5,000円
特別手当:1万円
通勤手当:上限10万円
当直手当:平日9,600円・日曜日1万500円
就業時間 8:30~17:30(休憩60分)
夕勤:19:00~21:00(休憩0分)
仕事内容 ・病院内の調剤業務
・服薬指導(若手の薬剤師も可)
・将来的に病棟ごとの担当制に移行
休日・休暇 週休2日制、有給休暇、出産・育児休暇、介護休暇、その他
福利厚生 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険、退職金、資金貸付制度ほか
応募要件 薬剤師(経験者歓迎、未経験・ブランク可、年齢不問)

この病院は、大手グループが運営する病床数300床ほどの中規模病院です。小規模病院に比べてやや年収は高めですが、夕勤や当直(月1~2回)があります。

若手でも服薬指導をさせてもらえるなど、病院薬剤師としての経験を積むには適した職場です。

199床の一般病院の求人例

勤務地 福岡県
病床数 199床
雇用形態 正職員
年収 430万円~480万円(※経験・能力を考慮の上決定)
手当 資格手当:7万2,000円
固定残業手当:3万3,000円~3万7,000円(固定残業20時間分、超過時間は別途支給)
通勤手当:上限3万円
就業時間 8:30~17:30(休憩60分)
休日・休暇 土日祝日休(月1回土曜出勤)、年間休日108日、有給休暇、出産・育児休暇、慶弔休暇
福利厚生 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険、退職金、社員食堂(1食350円 バイキング)、社員旅行(海外旅行が多く、積立なし)
応募要件 薬剤師(調剤業務経験者、病院での経験がなくても可)

この病院は、病床数199床のやや小さめの中規模一般病院です。小さいながらも年収は430万円~480万円と高めで、年間休日は少なめですが、土日に休める点がメリットです。

また、バイキング形式の社員食堂や海外への社員旅行など、福利厚生面に力を入れているので、そうした点では満足度が高いでしょう。

390床の総合病院の求人例

勤務地 愛知県
病床数 390床
雇用形態 正職員
年収 400万円~700万円(※年齢・経験・能力を考慮の上決定)
手当 残業手当、資格手当(1万5,000円)、日当直手当
特別手当:10万円
夜勤手当:5,000円
通勤手当:上限1万8,000円
就業時間 月~日:8:30~17:30(休憩60分)
夕診:20:00まで
夜勤:16:30~21:30~翌9:30(休憩60分)
遅番:11:00~20:00(休憩60分)
休日・休暇 4週9休、夏季休暇 有給休暇、慶弔休暇、出産・育児休暇 特別休暇、その他
福利厚生 雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険、退職金、資金貸付制度、駐車場、託児所(24時間対応)、社員寮(独身寮)
応募要件 薬剤師

この病院は、病床数390床の総合病院です。規模が大きいだけあって、年収は400万円~700万円と高めです。

この病院の良い点は、24時間対応の託児所や駐車場などの福利厚生が充実している点です。夜勤などもあって大変ですが、子育て中の薬剤師さんでも子どもを預けて働けます。

病院薬剤師として働くメリット・デメリット

病院薬剤師として働くメリット

患者さんと深く関わる中で、臨床医療に携われる

病院薬剤師として働く上で最も大きなメリットといえるのは、やはり患者さんと深く関わる中で、臨床医療に携わることができる点です。

患者さんが入院すると、薬剤師はベッドサイドを訪れ、服用管理指導を行います。調剤薬局のように浅い関わりではなく、入院中を通して患者さんとしっかり向き合えるので、「患者さんのお役に立てている」という実感を味わうことができます。

「薬学管理のプロ」としてのプライドがもてる

「薬学管理のプロ」としてプライドをもって仕事ができるのも、病院薬剤師として働く大きなメリットです。

病院薬剤師は入院患者さんのベストな治療に向けて、常に薬に関する新しい知識を取り入れ、医師や看護師などとも意見を交換し合います。

薬学管理のプロとして、常に成長し続けていくことができるのは、病院薬剤師の大きなメリットです。

専門性を高めることができる

規模の大きな病院の多くは、薬剤師が分担制で仕事に取り組んでいます。そのため、循環器病棟なら循環器専門といったように、その分野のスペシャリストとして専門性を高めることができます。

ハイリスクな薬を扱うなど、調剤薬局にはない難しさもありますが、その分薬剤師としての力を発揮できるチャンスも大いにあります。

治験に関わることができる

病院によっては、薬剤師が「治験」に関わることができる場合もあります。新薬の開発に関わる臨床試験で、どのような結果が出るかを目の当たりにできるので、薬剤師としてまたとない勉強の場となるでしょう。

病院薬剤師として働くデメリット

年収が少ない

病院薬剤師は、調剤薬局などに比べて全体的に年収が低めです。その点については、はっきりと理解した上で転職をしないと、後で後悔することになるかもしれません。

残業や夜勤・当直がある病院もある

調剤薬局やドラッグストアは夜勤や残業がない職場も多いのですが、病院の薬剤師はそうはいきません。

残業や夜勤・当直のある職場も多く、新しい知識を得るための勉強会などにも参加するため、体力と気力が求められる職場といえます。

求人倍率が高い

病院では新卒の薬剤師を定期採用するパターンが多く、中途採用は欠員補充の必要がないと、あまり募集しません。そのため、病院薬剤師は求人倍率が高くなる傾向にあります。

責任が重い

症状の軽い外来患者に対応する調剤薬局と違って、病院薬剤師は重篤な患者と関わることが多く、調剤ミスが治療に大きな影響を与えるケースもあります。

そういう点では、非常に責任が重い仕事といえます。

薬剤師が病院への転職を成功させるコツ

転職エージェントに登録する

薬剤師への転職を考えたときは、ハローワークやインターネット上の募集サイトを利用するだけでなく、薬剤師専門の転職エージェントに登録することをおすすめします。

転職エージェントの利用は無料で、登録すると応募先を紹介してもらえるだけでなく、書類の添削から面接対策、応募中のスケジュール管理、面接日・入職日の調整、条件交渉までやってもらえます。

「薬キャリ職業ナビ」が調査会社を通じて行った調査によると、転職経験のある薬剤師のうち、6割近くの人が人材紹介会社(転職サイト)を利用して転職活動を行っています。

転職エージェントを利用して転職活動を行うことは、もはや薬剤師さんの間では常識といえるでしょう。

薬剤師が転職活動で利用したことがある手段
出典元:薬キャリ 職業ナビ(エムスリー株式会社)調査会社を通じたWeb調査

転職の希望条件を明確にする

薬剤師さんが転職活動を行うにあたっては、転職の希望条件を明確にする必要があります。最も重要と思うことから順に、3つほど書き出してみましょう。

  1. がん治療の知識や技術を身につけて、がん専門の薬剤師になりたい。
  2. 結婚・出産をしても、子育てをしながら働き続けられる職場を選びたい。
  3. 自宅からドアツードアで40分以内の病院に転職したい。

たとえば上記のような希望条件を出したとしましょう。他にも条件はいろいろあると思いますが、すべての希望を満たす職場というのはほとんどありません。

「少なくとも優先順位の高い3つの条件を満たしたところ」といった条件で探すと、転職に失敗したり、いたずらに転職期間が長くなるのを防ぐことができます。

3つの条件をクリアするのが難しければ、「少なくとも優先順位1番目の条件は絶対に死守する」といった形で探していくのがベストの方法です。

職場見学をする

できれば、どんなに忙しくても応募をする前に、職場見学だけはしておくことをおすすめします。

募集要項を読んだり、転職エージェントのキャリアカウンセラーから情報を聞いたりしても「本当に自分に合う職場なのかどうか?」というのは、実際に行ってみなければわかりません。

職場見学をしてその病院の雰囲気を肌で感じ取ると、スタッフ同士の人間関係や患者さんへの対応の仕方なども、ある程度キャッチできるかもしれません。

条件面では申し分なくても「何となく自分には合わない気がする」といった直感的な判断も意外と重要です。これは職場見学に行ってこそできることです。

もちろん面接の際には病院を訪れますが、応募した後だと断りづらかったり、「せっかく応募したのだから」という気持ちになるので、よく思おうとする心理も働いてしまいます。応募する前に興味のある病院をいくつか見学し、見る目を養っておくのが理想的です。

病院薬剤師の転職に関するよくある質問

土日は休める?

病院薬剤師が土日に休めるかどうかは、病院の規模や病床数・薬剤師の数などによってさまざまです。土日祝日に休める病院もありますが、数は多くありません。

たとえば急性期病棟の薬剤師さんは、「週休2日制」あるいは「4週8休」となっているケースが多く、その中に土日が何日含まれるかは病院の事情によって違うでしょう。

それ以外にも、「土曜日は午前中だけ勤務し、日曜祝日は休み」という病院や、「日曜+平日1日が休みで、月に1回日曜出勤がある」といったシフトの病院もあります。

残業はどのぐらい?

病院薬剤師は調剤薬局の薬剤師などに比べて全体的に残業が多く、残業時間は病院によってさまざまです。

平均的には月10時間~15時間といったところでしょう。病院によっては月50時間~80時間も残業があるところもあります。

もちろん残業が少ない病院もありますが、残業がまったくない病院というのは、ほとんどないと思っておいた方が賢明です。

転職エージェントのキャリアカウンセラーに訊ねるなどして、前もって残業の実態を把握しておくことが重要です。

夜勤や当直はある?

夜勤や当直があるかどうかも、病院によってさまざまです。

急性期病院の多くは夜勤や当直がありますが、慢性期型の病院や療養型の病院の中には夜勤や当直がないケースもあります。

転勤はある?

個人病院や中小規模の病院などは転勤がありませんが、国公立病院は定期的に転勤があるので、薬剤師も転勤になる可能性があります。

民間の総合病院でも、大手の場合は転勤になる可能性があるので注意が必要です。

有給休暇は取れる?

有給休暇がしっかり取れるかどうかは、その病院の状況次第です。

人材が充実している病院は有給休暇の取得を奨励していますが、人手が足りない病院の場合は休みたくても休めないケースが少なくありません。

また、慢性期の病院は急性期の病院に比べて、比較的有給の希望を出しやすい傾向にあります。

引っ越しをしても仕事はできる?

病院は日本全国にありますが、薬剤師の中途採用は少ないので、都心から地方へ転居した場合は病院薬剤師として転職できない可能性があります。

引っ越し先でタイミングよく病院薬剤師の募集を見つけられればいいのですが、その辺は何とも言えません。

まとめ

病院薬剤師への転職についてご紹介しましたが、いかがでしたか?病院薬剤師の仕事はやりがいがある反面、給与が安く仕事がハードである点などをご理解いただけたかと思います。

転職にあたってはご自身の希望条件を明確にし、職場見学をして下調べを万全に行って、心から満足できる転職を実現しましょう。

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