クリニックの看護師が辞めたくなる理由と、円満退職するためのポイント

更新日:2020.7.15

「クリニックなら夜勤はないし、楽に働けると思っていたのに、別の意味で大変だった。もう辞めたい!」と嘆く看護師さんは、少なくありません。

クリニックの看護師さんが辞めたいと思う理由は、いったい何なのでしょうか?そして、悩んだ末に辞めると決めた場合、円満退社するためには、どんなポイントに気を付けたらいいのでしょうか?

クリニックの看護師が「仕事がつらい」「もう辞めたい」と思う理由とは?

職場の人間関係が悪い

クリニックは人数の少ない職場なので、一人でも気の合わない人がいると、それだけで職場に居づらくなってしまう場合があります。

また、クリニックは病院と違って、毎日同じメンバーと、同じ空間にずっと一緒にいるという特徴があります。

そのため自然と人間関係も濃くなり、何かのきっかけで気まずくなると、修復ができなくなってしまうのです。

給料が少ない

クリニックの看護師の給料は、病院の看護師に比べてガクンと低い

看護師の給与は全体的に高めなのですが、クリニックの看護師の給与は病院の看護師に比べてガクンと低く、それを不満に思って転職を考える人もいます。

平均年収.jpの調査によると、看護師の職場の平均年収ランキングは、下記の通りです。

順位 職場 平均年収
1位 ER看護師 543万円
2位 大学病院 490万円
3位 総合病院 465万円
4位 個人病院・クリニック 390万円

ER看護師の年収の高さは別格としても、総合病院に比べて75万円も年収が低いというのは、かなりの格差です。

福利厚生や就業規則に不満を感じる人もいる

給与だけでなく、福利厚生も大病院に比べてクリニックは充実していないため、それに対して不満を感じる人も少なくありません。

就業規則がきちんと整っていないクリニックもあり、昇給システムがはっきりしていないため、将来設計が立てづらいなどの理由から転職を考えるケースもあります。

病院の給料はいいが、夜勤があって仕事もハード

もっとも、病院勤務とクリニック勤務を単純に比較するのは、そもそも無理があるでしょう。病院には夜勤があり、仕事もクリニックに比べてかなりハードだからです。

その辺を考慮して、クリニックの給与を安いと思うか思わないかは、その人次第といえます。クリニックの給与は、看護師の仕事の中では低額ですが、女性全体の年収として捉えた場合は、けっして低い金額ではありません。

仕事のやりがいがない

クリニックの仕事の生ぬるさに不満を感じる

病院でバリバリと働いた経験のある人は、簡単な診療ばかりを行うクリニックの仕事を生ぬるく感じ、「もっと自分の人生をかけて働けるような職場に行きたい」と思う人もいます。

病院勤務であれば、医師や介護士・理学療法士などと共にカンファレンスを開いたり、病棟ごとに勉強会を開いたりするなど、勉強しようと思えば機会はたくさんあります。

ところがクリニックは個人経営のところも多く、医師は自分の診察で手一杯で、看護師に勉強の機会を与える余裕のない院長も数多くいます。

毎日淡々と仕事をこなす日々が続く

そうなると、毎日患者と接していながらも、自分自身にはあまり進歩がなく、淡々と注射や血圧測定といった簡単な仕事をこなす日々が続きます。

クリニックに重症患者や専門的な技術を必要とする患者さんが来ないことを、「楽でよかった」思う人はいいのですが、上昇志向の強い人は物足りなさを感じてしまうでしょう。

院長が尊敬できない

クリニックの院長にも、いろいろな人がいる

クリニックの院長にも、いろいろな人がいます。人格的に優れていてスタッフ全員から慕われている院長もいれば、常に上から目線だったり、性格的なクセが強かったりして、皆から嫌われている院長もいます。

図らずも後者のクリニックに入ってしまった人は、勤め続けているうちに次第に嫌気がさしてきたとしてもう人も、不思議はありません。トップがどんな人間かというのは、規模が小さければ小さいほど、ストレートにスタッフに影響を与えます。

医療的な面で院長と考え方が異なる場合もある

また、たとえ院長が人格的には問題のない人だったとしても、たとえば「院長は薬を多用するけれど、私は抗生剤などはできるだけ使わない方が良いと思う」というように、医療的な面で考え方が異なるケースもあります。

このような場合も、何年か勤め続けるうちにストレスが溜まり、「もうあの院長の下では働けない」と退職を考える人もいます。

休みたいときに休めない

クリニックはギリギリの人数で営業しているので、「来週の土曜日は息子の運動会があるから休みたい」と思っても、どうしても休めないというケースが少なからずあります。

有給休暇も取りづらいなど、休みの点では融通がきかないクリニックも多く、「もっと自分が休みたいときに自由に休みたい」という理由で退職をする人もいます。

患者への対応がひどい

クリニックによっては、患者を機械的に扱い、医師の態度も横柄など、患者への態度がひどいクリニックもあります。

たとえばクリニックのドアを開けても「こんにちは」の一言もなく、看護師は患者を事務的に案内するだけ。診察室で医師に何か質問をしても、「余計なことは聞かないでください」と一喝されてしまうといった具合です。

そのようなクリニックに勤めていると、心優しい看護師さんは次第にストレスが溜まり、「もう辞めたい」と思ってしまいます。

やらなければならないことが多い

思ったよりも業務量が多く、忙しいクリニックもある

「病院は忙しいけれど、クリニックならゆったり仕事ができるかもしれない」と思ってクリニックを選ぶ看護師さんは、少なくありません。

ところが、実際に働き始めたら当てが外れてしまい、「こんなに忙しいと思わなかった」と後悔して退職したいと考える人もいます。

少ない人数でこなしている職場は、業務量も多い

クリニックは看護師不足に悩んでいるところも多く、少ない人数で何とか業務をこなしている職場は、一人の業務量も当然多くなってしまいます。看護業務だけでなく、院内の掃除や雑用まで、看護師任せのクリニックもあります。

しかも、患者は毎日続々と来院。午前中の診療時間が終わっても、患者がまだまだ残っていて、診療時間がズレこんでランチを食べる暇がないようなときも…。

クリニックへの転職を考えるときは、そのクリニックにどのぐらいの患者が来るか、スタッフは何人ぐらいかなどを、事前にしっかりとチェックすることが大切です。

クリニックのオープニングスタッフの看護師は、なぜかすぐに辞める

クリニックのオープンスタッフというと、「新しい人間関係をこれから作れるから、居心地が良さそう」と思う人もいるかもしれません。

ところが、現実はその逆で、クリニックのオープンスタッフは辞める人がとても多いのです。開業してから1年間の間に、スタッフがほとんどいなくなってしまうクリニックもあるほどです。それはなぜなのでしょうか?

■新米院長がクリニックの経営に慣れていない
クリニックがオープンしたての頃は、新米院長がクリニックの経営に慣れていないので、試行錯誤の日々を送ることになります。

今まで病院に雇われて、検査や治療を行うのが仕事だったのですから、無理もありません。医師が経営者になるというのは、実はものすごく大変なキャリアチェンジなのです。

何年か経験すれば当たり前のようにわかることも、開業したてでは気が回らず、従業員に不満を感じさせてしまうこともあるでしょう。

そうしたゴタゴタに耐え切れなくなって、オープニングスタッフの看護師さんが、次々に辞めてしまうことになるのです。

■院長先生の人柄や考え方、経営者としての素質を見極めること
もちろん、そんなクリニックばかりではありません。開業前に用意周到に準備をし、経営についてもしっかりと勉強して、むしろ長年やっているクリニックよりも素晴らしい経営を行う院長先生もいます。そのようなクリニックに当たった看護師さんは、本当にラッキーでしょう。

「クリニックのオープニングスタッフとして転職したい」と考えている人は、院長先生の人柄や考え方、経営者としての素質などを、見学や面談の際にしっかりと見極めることが大切です。

クリニックの看護師を辞めるか悩んでいる際にチェックしておくべきこと

クリニックの看護師を辞めるかどうか悩んでいる人は、決断する前にあらためて自分が勤めているクリニックの不満度を、チェックしてみましょう。

いくつか不満はあっても、それが我慢できる範囲であれば、踏みとどまるという選択肢もあります。逆に、「ここまで職場環境が悪いなら、辞めるのは仕方ないだろう」と判断できるクリニックもあるでしょう。

  • 職場の人間関係が悪く、ストレスが溜まっている。
  • ゆっくり休憩が取れないような日々が続いている。
  • 子供の学校行事など、どうしても休みたいときがあっても休めない。
  • フルタイムで働いているにもかかわらず、年収が300万円に満たない。
  • 院長が儲け主義で、患者のことを考えていない。
  • どうしても相性の合わないスタッフがいる。
  • 診察終了間際に駆け込みで入ってくる患者が多く、毎日残業になってしまう。
  • 看護の仕事以外に掃除や雑用まで一手に任され、毎日ヘトヘト。
  • 家からドアツードアで30分以上かかる。
  • 福利厚生の制度がほとんどない。
  • 事務的に仕事をこなすだけで、やりがいが感じられない。
  • 患者との心の触れ合いがまったくない。

上記の項目で、自分に当てはまるものがいくつありましたか?その数が多いようなら、本気で退職を考えてみる必要があるかもしれません。

でも、「お給料は安いし、仕事も単調だけれど、子供の学校行事のときには休ませてもらえるし、家から徒歩10分だから通勤も楽。仕事内容もそんなに大変ではないから、疲れもあまり残らない」というような場合は、このまま勤め続けるという選択肢もあり得ます。

また、「不満な点は少ないけれど、人間関係だけが最悪で、うつになりそう」というように、ひとつの不満が非常に大きい場合は、退職も視野に入れる必要があるでしょう。

クリニックは円満退社しづらいというのは本当?

あの手この手で引き止め作戦に出られる場合がある

いろいろ考えてクリニックを辞める覚悟をしたものの、「いざ院長に退職を申し出たら、却下されてしまった!」という人も少なくありません。

クリニックは大病院のように看護師が集まらないので、ひとり辞めてしまうとなかなか補充できないため、「辞めてもらっては困る」というのが院長の本音でしょう。

新たに採用するとなると、それなりにお金も労力もかかり、あの手この手で引き止め作戦に出てくる可能性は十分にあります。

何とかして円満退社できるよう努力を

クリニックが辞めづらいからといって、クリニック側の気持ちを無視して強硬手段に出るのは、おすすめできません。無理やり辞めてしまうと、転職先を探すときに不利になる可能性もありますし、できれば円満退社をしたいものです。

では、円満退社をするには、いったいどうしたらいいのでしょうか?これからご紹介しましょう!

クリニックの看護師が円満退社するための方法

2~3ヶ月ぐらい前に退職を申し出る

クリニックを辞めるときは、少し余裕をもって、退職の2~3ヶ月ぐらい前には院長に退職を申し出るのが理想的です。

そのぐらい余裕を持って退職を申し出れば、院長も後任探しに時間をかけることができますし、後任者が入職した後にしっかりと引き継ぎを行うこともできるからです。

いったん退職を申し出ると、院長やスタッフの態度が微妙に冷たくなるなど、やや辛い立場に置かれるかもしれません。でもそこはグッとこらえ、“円満退社”の4文字を思い浮かべて、がんばりましょう!

退職届に最終出社日を書いておく

退職を申し出る際に「退職届」を提出しますが、そこに最終出社日を書いておきましょう。

「どんなに引き止められても、この日には退社しますよ」というリミットを伝えておかないと、退職届を出したままズルズル働かされる可能性があるからです。2~3ヶ月後の退社日を書くのであれば、こちらとしても十分にクリニックに誠意は示しています。

有給休暇が残っているなら、その消化日数を含めて、最終出社日も伝えておく必要があります。

退職理由に関しては、角の立たない理由を考える

「親の介護」などの理由は角が立たず、院長も引き止めづらい

退職理由を伝えるときに、「仕事があまりに忙しくて疲れた」「子供の運動会のときに休めなくて辛かった」というような本音を言いたくなる気持ちは、十分わかります。でも、円満退社を考えると、それは控えた方が賢明でしょう。

なるべく角が立たず、それでいて病院側としても引き止めがたい退職理由としては、「親の介護をしなければならなくなった」というような理由が考えられます。

「スキルアップをしたい」という理由も、前向きに転職したいという意味では悪い印象を与えないのですが、院長から「それならもっと勉強体制を整えよう!」と言われてしまうと、辞めづらくなる可能性があります。

退職理由を本音で語ることは、リスクもつきまとう

クリニックを退職したいと思う看護師さんの中には、「自分は先輩看護師からパワハラに遭って、本当に辛い思いをした。後に残るスタッフのためにも、真実を伝えたい!」という強い気持ちがある人も、いるかもしれません。

その場合は、院長に本音を語って辞めるという選択肢も、ないわけではありません。ただし、病院やクリニック関係者は横のつながりが強いので、ヘタな言い方をすると転職活動に支障をきたす危険性があることだけは、覚えておいた方がいいでしょう。

実際、お局様的な権力をもったパワハラ看護師が、院長すらも牛耳ってえばっているようなクリニックは、結構あります。そんなお局様を院長はどうすることもできず、入職したばかりの看護師が次々と辞めてしまっても、状況を変えられずにいるのです。

その状況を作ったのは、お局看護師の問題というより、経営者としての院長の力量や、人手不足の問題も関係しているかもしれません。自分が意を決して告白をしても、状況は変わらない可能性が高いでしょう。

退職前に引き継ぎを完璧にやり切る

引き継ぎ書を作成し、実際の業務を通して教える

クリニックを辞めるにあたっては、退職するまでにできる限り完璧に引継ぎを行い、後任の看護師さんがスムーズに働けるよう配慮しましょう。

そのためには引き継ぎ書を作成し、仕事の内容ごとに項目を立てて具体的に書き、引き継ぎ書を見せながら実際に業務を通して教えていくのがベストです。

「このようなことがあったときには、こう対処しましょう」といったように、よくあるパターンに対する対処法も記載しておくと、とても親切です。

引き継ぎをいい加減に行うと、退職後に連絡が来ることもある

引き継ぎをいい加減にして退職してしまうと、辞めた後に後任の看護師から連絡がくるなど、面倒なことも起こりがちです。

「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちで、しっかりと引き継ぎを行い、スッキリした気持ちで退職の日を迎えましょう!

最後のあいさつは感謝の心をこめて

退職する日の最後の挨拶は、感謝の心をこめて、院長を始めスタッフ一人ひとりに対して丁寧に行いましょう。

クリニックに対しては、さまざまな思いや、恨みつらみがある人もいるかもしれません。でも、お世話になった気持ちを伝えることは、とても大切です。

まとめ

クリニックの看護師を辞めたくなる理由と、円満退職するためのポイントについてお話ししましたが、いかがでしたか?

若い頃は病院でバリバリと働き、結婚・出産後にクリニックへ転職する看護師さんも多いのですが、クリニックにはクリニックなりの大変さがあるのも事実です。

家庭と無理なく両立できる看護師の仕事は、クリニック以外にも訪問看護の仕事や、デイサービスの仕事、検診・健診センターの仕事など、さまざまあります。何が自分にとって最も合った仕事かをよく考えて、慎重に職場選びを行いましょう。

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