老健の看護師が「もう辞めたい」と思う7つの理由!転職する前に知っておくべき3つのポイント

更新日:2020.5.28

残業が少なく、あまり体力を使わない職場だと思って老健(介護老人保健施設)の看護師を選んでも、しばらくすると「老健は無理。もう辞めたい!」とこぼす看護師さんも少なくありません。

看護師さんが老健を辞めたいと思う理由とは、いったい何なのでしょうか?

老健の看護師を辞めたいと思う7つの理由

医師が常駐していないので、看護師の責任が重すぎる

一般の病院では医師の指示のもとに看護師が動くのが普通ですが、老健の看護師さんは医師が常駐していないケースも多く、看護師さんの肩にドッと重い責任がのしかかってきます。本来は医師常駐が原則なのですが、現実には常駐していないケースも少なくないのです。

そのため、医師が不在のときに利用者さんの容態が急変してしまうと、看護師が対処しなければなりません。ある程度の医学的な知識があったとしても、最終的な判断を看護師が任されてしまうのは、厳しいものがあります。

人の命を預かる仕事なので、「もし何かあったら」と思うと気が重くなり、老健の看護師を辞めたいと思う人は少なくありません。

老健は人手不足が深刻なので、仕事がきつい

「老健は楽」と思っている看護師さんも多いのですが、実は老健の中には、慢性的な人手不足に陥っている施設も数多くあります。そのため、一人の看護師が20人近くの入居者を看るといったような、とんでもない状態になっている老健もあります。

勤務年数が長くなればなるほど、その看護師は施設にとって“無くてはならない存在”になってくるので、「もう長いこと有給を取ったことがない」「休日出勤当たり前」という看護師さんもいます。

プライベートの時間がまったく取れない状況で、なおかつ一人で何人もの入居者を看なければならないとなると、「もうこれ以上やってられない。辞めたい!」と思うのは当然のことです。

残業代や休日出勤手当が出ない

ブラック老健の看護師さんが、残業や休日出勤までさせられてボロ雑巾のように働いても、そういう施設に限って残業代が出なかったり、休日出勤手当が出なかったりします。そんな施設に入職してしまうと、どんなにがんばって働いても、お金で報われることはありません。

残業代や休日出勤手当が出ない老健は、ほぼ漏れなく昇給額も少ないので、「こんな老健で長く働いてもバカバカしい」と、辞めてしまう看護師さんも多いのが現実です。

介護士との人間関係がうまくいかない

老健は介護職員の数に比べて看護師の数が少ないので、医師や薬剤師・放射線技師などさまざまな職業の人がいる病院とはまた違った、独特の雰囲気があります。

そのため、介護職員が幅を利かせている職場にありながら、入居者の健康に関することは看護師が介護職員に指示を出すという、微妙な立ち位置に置かれているのが老健の看護師なのです。

もちろん看護師と介護職員がうまくいっている理想的な老健もありますが、看護師と介護職員が対立関係になってしまっている職場も多く、ギスギスした人間関係に耐えられずに「もう辞めたい!」と思う看護師さんも結構います。

看護師の利用者に対する態度が酷い

老健で働く看護師の中には、利用者に対する態度がありえないほど悪い人もいます。たとえば普段から睨みつけるような表情をしていて、威圧的なオーラをムンムンに出し、そのままの態度で利用者さんにも容赦なく接します。まさにパワハラ看護師です。

百歩譲ってその看護師の立場に立ってみれば、「安い給料でこき使われて、利用者に笑顔で接するなんて、とてもじゃないけどできないわ!」という、経営者への怒りの気持ちがあるのかもしれません。

でも、そんなおどろおどろしい看護師の態度を目の当たりにした、新入りの看護師さんは、当然ながら気持ちが萎えてしまいます。

「こんな怖い人とは一緒に働けない」と見切りをつけ、老健を去って行ってしまうのは、当然のことでしょう。

利用者の家族からのクレームに対応するのが大変

施設によっては非常に利用者の満足度が高い施設もあるので、一概には言えませんが、老健は一般的に有料老人ホームなどに比べて接遇が悪く、利用者の家族がそれに対して不満を感じているケースも少なくありません。

病院から自宅に戻るまでのつなぎ的な施設なので、スタッフの人も病院的な感覚でサバサバと接する傾向があり、それを見た家族が「何だあの態度は!」と怒ってしまうこともあります。

ただでさえ人手不足で日々の仕事に追いまくられているのに、さらに利用者の家族からのクレーム対応までさせられるとなると、疲弊してギブアップしてしまう看護師さんがいても不思議はないでしょう。

利用者の入れ替わりが多く、じっくり向き合えない

特別養護老人ホームなどは、スタッフ皆で利用者さんの最期を見送るケースも多いので、そうした深い心の触れ合いにやりがいを感じる看護師さんは数多くいます。間もなく旅立つ利用者さんから、「本当にありがとう」と感謝をされたときには、看護師冥利に尽きることでしょう。

ところが老健の看護師には、その喜びがありません。老健は在宅復帰を目指すための施設なので、入居期間は基本的に3ヶ月。継続したとしても特養ほど長くいることはなく、親しみを感じる利用者さんがいたとしても、いずれは別れの辛さを味わうことになります。

「もっと利用者さんと深く関わりたい」というウェットな感情を持つ看護師さんは、その点に物足りなさを感じ、老健を辞めることがあります。

老健の仕事に向いている人、向いていない人

老健の看護師が辞めたいと思う理由についてお話ししましたが、では、老健の看護師に向いている人とは、いったいどんな人なのでしょうか?

老健の仕事に向いているのは、こんな人

“自宅復帰”という目標に向かって、利用者さんと一緒にがんばれる人

老健は利用者さんの自宅復帰を目指す施設なので、当然ながら利用者さんは「早く体調を整えて自宅に帰りたい」と望んでいます。

その利用者さんの気持ちをよく理解して、“自宅復帰”という目標に向かって一緒にがんばれる人は、老健の仕事に向いていると言えます。

ワークライフバランスを大切にする人

先ほど老健の看護師を辞めたい理由の中に、「仕事がきつい」と書いておきながら、「何がワークライフバランスよ!」と思った人もいるかもしれませんね。たしかに、人手不足で仕事がきつく、それが理由で老健を辞めていく看護師が多いのは事実です。

でもそれは、人手が足りないで困っているブラック老健の場合。施設のシステムがしっかりしている老健の看護師は、無理なシフトを入れられることもありません。基本的に利用者さんのお世話は介護職員が行うので、看護師は定時で帰ることができます。

病院の看護師の場合は、急な入院に追われて残業になってしまうこともありますが、それが無いのも老健の大きなメリットです。当直のある老健もありますが、急患対応に追われることは少なく、病院のように「自宅にいてもオンコールでストレスが溜まる」といったこともほとんどありません。

「仕事も大事だけど、働くときは働いて、休むときはしっかり休みたい」と思う人にとって、老健は最高の職場と言えます。

ゆったりと働きたい人

看護師というと、忙しそうに病室を歩き回るイメージを持っている人も、多いのではないでしょうか?

たしかに病院の看護師の多くは、「次は点滴の交換」「次は注射」といったように、一日の中でやるべき仕事が多く、ゆったりペースの人は「自分は看護師には向いていない」と思っているかもしれません。

でも、そんな人が逆に向いているのが、老健の看護師です。老健の一日は長く、利用者さんもあり余るほどの時間を持っているので、ゆったりした時間の中で仕事をすることができます。

そんな風に気持ちや体の負担が少ない仕事なので、「70歳を過ぎてもずっと働きたい」と考える看護師さんは、施設さえOKすればずっと働くことができます。ただし、これもすべてブラック老健以外の話なので、施設選びはくれぐれも慎重に行いましょう!

老健の仕事に向いていないのは、こんな人

利用者さんとの深いかかわりを大切にしたい人

先ほど老健の看護師を辞めたい理由の中でもお話ししましたが、「利用者さんと深く関わりたい」「長く続く人間関係を大切にしたい」というタイプの人には、はっきり言って老健は向いていません。

次から次へとやってくる利用者さんが、一日でも早く施設を出られるようにサポートする仕事なので、利用者さん自身もそこまで看護師さんに期待していない場合も多いでしょう。ウェットな感じではなく、どちらかというとサッパリ割り切れるタイプの人に向いている仕事です。

ただし、それは老健と他の介護施設を比べた場合で、病院の手術室や救急対応の看護師などと比べれば、老健の仕事もかなり人間的なつながりはあります。

ゆったりとした時間の流れの中で、利用者さんと会話を交わしながら仕事を進められるので、そこから得られるやりがいや満足感はあるでしょう。

人とのコミュニケーションが苦手な人

老健は病気を治すためだけの施設ではないので、人とコミュニケーションをとることがあまり得意でない人は、利用者さんとの関係をうまく作れないかもしれません。

特養ほどのコミュニケーション力は求められませんが、やはり高齢者の方々の気持ちを察し、話し相手になれるような人材が求められます。そういう包容力を持った看護師さんなら、きっと介護職員の人たちともうまくやりながら、楽しく仕事ができるでしょう。

ただ、実際にはコミュニケーション力に乏しく、包容力どころか威圧的な態度をとる看護師さんが多いのも、老健の現実です。

老健への転職を考えるときは、施設内にどんな看護師さんがいるのかをよくチェックし、和やかな雰囲気の職場に応募した方が賢明です。

老健の看護師として働くやりがいとは?

利用者さんが嬉しそうに自宅に帰る姿を見届けることができる

老健の利用者さんに限らず、施設に入る高齢者のほとんどは、本心では「自宅に帰りたい」と望んでいます。

ところが、特養や有料老人ホームなどは“終の棲家”なので、できるかぎり快適に過ごしてもらうことはできても、入居者さんの本当の願いを叶えてあげることはできません。

その点、老健の利用者さんは「ここでがんばれば自宅に帰れる」という希望を持っています。そのため、老健で働く看護師も「一緒にリハビリをがんばって、早くおうちに帰りましょうね!」と利用者さんを励ましながら、明るい目的に向かって進むことができます。

やがて利用者さんが施設を離れていくときは、別れの寂しさを感じながらも、「本当に良かった」という満足感に満たされて見送ることができるでしょう。数ある介護施設の中でも、老健はある意味、“利用者さんの幸せに最も近い場所”と言えます。

利用者さんの幸せを本気で願える人なら、老健の看護師の仕事は、確かなやりがいを感じることができるはずです。

介護施設でありながら、医療者としてしっかり関われる

特養や有料老人ホームなどから老健に移る人の転職理由のひとつに、「せっかく看護師になったのに、介護施設ではあまり医療に関われない」ということがあります。

老健の看護師は、理学療法士や作業療法士と連携して、看護の視点から利用者さんの服薬管理・口腔ケア・食事や入浴の管理などを行います。

他の施設でも同様のことは行いますが、老健の場合は施設に滞在することが目的ではなく、症状を改善して自宅に復帰することが目的なので、より看護の専門職としての技量が求められるのです。

看護師本来の役割を発揮することができるので、それがやりがいにつながります。

特養と老健、どちらが働きやすい?

介護施設への転職を考える看護師さんは、「特養がいいか、それとも老健にしようか?」と悩むこともあるでしょう。

特養と老健、いったいどちらが働きやすいのでしょうか?

身体的な負担は、老健の方が楽

特養は要介護度3以上の人が入所しているので、寝たきりの人も多く、看護師の身体的な負担もそれなりに大きいものがあります。

それに対して老健は、要介護度1以上で自宅に帰る目的の人が入所してくるので、看護師の身体的な負担はさほど大きくありません。そういう意味では、老健の方が看護師さんの身体的な負担が少なく、腰痛に悩まされる人も少なめです。

人間関係に関しては、どちらも同じぐらい大変

転職を考える上で「人間関係の良い職場に行きたい」と考える人は、とても多いと思います。ところが残念なことに、特養も老健も介護職員との軋轢に悩む看護師が多く、人間関係に関しては「どちらも同じぐらい大変」というのが現実です。

ただ、全体的な人数が多い老健の場合は、その中から自分と気の合う人を見つけて、楽しくやっている看護師さんもいます。また小規模な施設でも、リーダー的な立場の職員がとてもいい人で、その人を中心に円滑な人間関係が育まれている施設もあります。

こればっかりは「特養か老健か?」といった問題ではなく、施設によってまちまちなので、何とも言えません。人間関係のいい職場に転職したかったら、その希望を強く持って転職活動をすることが大切です。

たとえば看護師専門の転職エージェントに登録をして、「人間関係のいい老健に転職したい」と伝えれば、そういう条件に合った老健施設を紹介してもらうこともできます。

候補に上った老健を実際に見学して、働いている人の雰囲気を確かめることも、必ずやっておきたいことのひとつです。

看護師の肩にかかる責任は、老健よりも特養の方が重い

特養は介護がメインの社会福祉法人なので、看護師の常駐は義務付けられていても、医師の常駐は義務付けられていません。そのため、緊急時は看護師が対応しなければならないことも多く、看護師の肩にかかる責任はどうしても重くなります。

その点、老健はリハビリがメインの医療法人なので、医師の常駐が義務付けられていて、看護師は医師の指示のもとで動きます。利用者さんも特養に比べて症状の軽い人が多く、特養のように緊急時に看護婦がアタフタすることもありません。

このように、看護師の肩にのしかかる責任は、老健よりも特養の方がどうしても重くなります。ただし先にもお話しした通り、老健は医師常駐が義務なのですが、それを守っていない老健も結構あります。その場合、看護師の責任の重さは、特養と同レベルになります。

ワークライフバランスは、特養も老健も病院に比べて良い

ワークライフバランスに関しては、特養も老健も「ブラック施設以外」という前提でお話しすると、病院の看護師に比べて私生活は充実していると言えるでしょう。

介護施設なので、土日に休めるわけではありませんが、看護師は夜勤がなく日勤のみという施設もあり、子どもを育てながらでも無理なく働くことができます。

病院勤務でも、子どもを育てながら働いている看護師さんは大勢いますが、やはり夜勤は大きなネックとなっています。残業が少なく夜勤がない特養や老健に勤めれば、子育ての面ではかなり助かるでしょう。

介護施設に新たな流れ!これからは「介護医療院」が増えてくる

老健の看護師の仕事についてお話ししてきましたが、実はいま介護施設に新たな流れが生まれようとしています。それが「介護医療院」の誕生です。

介護医療院とは、老健に特養としての機能が加わった介護施設のこと。今まで特養は社会福祉法人として介護サービスを提供し、老健は医療法人として医療サービスを提供するという形で、2つの施設に分かれていました。

でも今後は、老健の施設を整備し、介護医療院というひとつの施設で、リハビリから看取りまで行うケースが増えてきます。

これは政府の方針で、2019年12月31日時点で、全国に301の介護医療院が誕生しています。今後も増える見込みなので、老健への転職を考える看護師さんは、その点も調べながら転職活動を行った方が良いでしょう。

まとめ

老健の看護師が「もう辞めたい」と思う理由や、仕事のやりがい、特養との比較などについてお話ししましたが、いかがでしたか?

「病院の看護師は大変だから、介護施設に移りたい」と思って老健に転職する人がいますが、老健には老健の大変な部分があり、また老健ならではのやりがいもあることを、おわかりいただけたかと思います。

病院勤務に疲れ果てている看護師さんは多いので、老健の看護師に転職することで、残業や夜勤がなくなるのは大きなメリットですね。老健に勤めていると、リハビリに関する知識もつくので、病院の看護師経験がある人は“鬼に金棒”のスキルを積めるかもしれません。

これから老健を辞めようと思っている人は、介護施設の看護師のメリット・デメリットは何かをよく考えて、看護師専門の転職エージェントなどにも相談しながら決めるのが、ベストの方法です。

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